スクワットはやり方次第で有酸素運動の効果もあり!効果を得るためのポイントや自宅で実践できるメニューも紹介 2021.09.21 筋トレ 脚 理学療法士・パーソナルトレーナー 鈴木裕子 スクワットと聞くと筋トレのイメージが強い方も多いのではないでしょうか。 実はやり方次第ではスクワットも有酸素運動としての効果を出すこともできます。スクワットは省スペースでできるトレーニングですので自宅で行うのにおすすめのトレーニングです。 今回は、スクワットで有酸素運動の効果を出す方法と自宅で簡単にできるトレーニングメニューをご紹介します。 目次 スクワットはやり方次第で有酸素運動になるスクワットで有酸素運動の効果を得る「低負荷で持続性」のポイントスクワットで有酸素運動するならコレ!自宅でできる!スクワットと組み合わせたい有酸素運動5つまとめ スクワットはやり方次第で有酸素運動になる 有酸素運動は脂肪燃焼に効果的と言われていますが、スクワットをどのように行うことで有酸素効果が得られるのでしょうか。 有酸素運動と無酸素運動の違い まず、有酸素運動と無酸素運動の違いから確認していきましょう。 有酸素運動 無酸素運動 ATP生成時のエネルギー源 糖や脂肪 糖 ATP生成時の酸素の必要性 あり なし 負荷量 軽〜中等度 高負荷 運動時間 持続的 短時間 筋肉の種類 赤筋(遅筋) 白筋(速筋) 種目 ウォーキング ジョギング 水泳 短距離走 筋トレ 一般的な違いは上表のとおりです。簡単にいうと、有酸素運動はジョギング、無酸素運動は短距離走のような運動が当てはまります。 いずれの運動も筋肉を収縮させて身体を動かしますが、少し専門的に説明させていただくと、筋肉収縮のエネルギー源(アデノシン三リン酸=ATP)を作り出すのに酸素が必要かどうかが大きなポイントです。 ATPを生成する方法はいくつかあり、無酸素運動の場合は糖を使ってATPを生成するのですが、この時に酸素は必要ありません。反対に有酸素運動の場合は、ATPを生成する際に酸素が必要なので有酸素運動と呼ばれています。 有酸素運動は、ATP生成のエネルギー源として主に脂肪を使います。また、脂肪が分解されると脂肪酸とグリセリンに分解されるのですが、その脂肪酸と酸素がくっつくことで二酸化炭素と水を生成し、大きなエネルギーとして放出されます。 酸素がある限り、エネルギーを発生させる事ができるので持続的な活動が可能かつ脂肪の燃焼に効果的なのです。 スクワットが有酸素運動になる理由とやり方 スクワットは筋トレのイメージが強いですが、低負荷で持続的に行うことで有酸素運動として取り入れる事ができます。 下の図から分かるように運動負荷が軽いと遅筋繊維が活動し、負荷が上がるに連れて速筋繊維が働き出しています。スクワットはここでいうとタイプⅡa(ピンクのライン)を鍛えるのに効果的で、速筋なのに持久力に優れたピンク筋に対する効果が高いと考えられます。 横浜市スポーツ医科学センターHPより ちなみに、遅筋繊維は赤筋と呼ばれ赤い色をした筋肉で、速筋繊維は白いので白筋と呼ばれています。 遅筋繊維にはミオグロビンと呼ばれるタンパク質が筋肉内に存在するのですが、これは血液から送られてきた酸素を受け取り・貯蔵・代謝などをする役目があります。それにより持続的な有酸素運動が可能になるのです。 ピンク筋は赤筋と白筋の中間であり、機能としてもそれぞれのいいとこ取りです。ピンク筋を鍛えることでパワーと持久力を兼ね備えた身体を作る事ができるのです。 このようにスクワットは低負荷で持続的に行うことで有酸素運動としての効果があります。 次に、スクワットを低負荷で持続性的に行うためのポイントを解説します。 スクワットで有酸素運動の効果を得る「低負荷で持続性」のポイント スクワットで有酸素運動の効果を得るためには、低負荷で持続的に行うのがポイントです。 ・回数よりも時間を意識する ・正しい呼吸法で行う ・継続すること 詳しくみていきましょう。 回数よりも時間を意識する 有酸素運動の効果を出すためにはある程度の時間、継続して行う必要があります。そのため、回数ではなく時間を意識する事が大切です。 有酸素運動は20分程度行うことで効果があると言われて来ましたが、現在では5〜10分でも脂肪の分解が行われるとされています。そのため、最低でも5〜10分行える負荷で継続的に行うことで有酸素運動の特徴である脂肪燃焼効果が高まるでしょう。 正しい呼吸法で行う また、有酸素運動で脂肪が代謝される過程で酸素が必要ということをご説明しました。よって、呼吸を止めずにしっかりと呼吸することで体内に酸素が送り込まれます。そして、呼吸は出来るだけ口呼吸ではなく鼻呼吸をするようにしましょう。なぜなら、鼻呼吸は鼻毛により埃や菌を体内に入るのを防ぐ事ができますが、口呼吸ではそのまま体内に取り入れてしまう危険があるからです。そして、人の身体は息を吐き切ると自然と吸えるようにできていますので、運動のリズムに合わせて吐く息を長くするのもポイントです。 継続すること 運動時は糖質を消費する無酸素性のエネルギー代謝と脂肪を消費する有酸素性のエネルギー代謝の両方がバランスを取りながら行われています。 例えば、ジョギングなどの有酸素運動もはじめは糖質を消費する無酸素性のエネルギー代謝(=無酸素運動)であり、徐々に脂肪を消費する有酸素性のエネルギー代謝(=有酸素運動)に変わっていきます。そして、ジョギングの運動強度が高まるとまた無酸素性のエネルギー代謝に変わるのです。 有酸素性のエネルギー代謝を継続的に行うためには、”ややきつい”のレベルで継続する事が大切です。 年齢別の心拍数の目安は下記の通りです。 強度の感じ方 評価 1分間当たりの脈拍数の目安(拍/分) 65歳代 50歳代 40歳代 30歳代 20歳代 きつい〜かなりきつい × 135 145 150 165 170 ややきつい ○ 125 135 140 145 150 楽である ○ 120 125 130 135 135 厚生労働省の運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書より引用 先ほどもお伝えしましたが、1回の運動は最低5〜10分継続する事で脂肪燃焼効果が得られます。効果を高めたい方は時間を延ばしたり、1日に2回行うのも効果的です。そして、1週間のうちでは週に2、3回行うのがおすすめです。 頑張りすぎてしまうとかえって有酸素運動の効果が減り、無酸素運動になってしまうため心拍数なども意識しながら行ってみましょう。 では、スクワットを有酸素運動として取り入れる際はどのようにするのが良いのでしょうか。 スクワットで有酸素運動するならコレ! 有酸素運動の効果を得るためには次のスクワットがおすすめです。 ハーフスクワット ハーフスクワットは下までしゃがみ込むフルスクワットの約半分の可動域で行います。膝の角度が90°になるところで動きを切り替えすことで負荷量を減らす事ができ、数分間継続して行えることから有酸素運動の効果が期待できます。 動画ではバーベルを使用していますが、この時にバーベルなどで負荷をかけてしまうと筋トレ要素が強くなり有酸素の効果が軽減してしまうため、有酸素効果を狙いたい時は重りは無しで行いましょう。こちらの動画ではしっかりとフォームを確認してみてくださいね。 有酸素運動として取り入れる際は、1分間×3セットを目安に行いましょう。スピードは1分間に10〜15回行うペースで、呼吸にも意識を向ける事が大切です。呼吸は膝を曲げる時に吸って、吐きながら伸ばすようにすると体幹に力が入りやすくなり安定します。そして、脂肪燃焼に必要な酸素を体内に送り込みやすくなるので呼吸を忘れずに行いましょう。 スロースクワット スロースクワットはその名の通り、ゆっくりとしたペースで行うスクワットです。脚は腰幅よりやや広めにし、腿が床と平行になるところまでお尻を下ろしていきます。膝が前に出ないように、お尻を後ろに引くイメージです。 有酸素運動では赤筋や遅筋と呼ばれる筋肉を使うことで脂肪燃焼に効果があります。反対に白筋や速筋と呼ばれる筋肉は、筋肉や筋肉肥大によってボディメイクをする事ができます。 このスロースクワットは赤筋と白筋の間のピンク筋を鍛える事ができ、筋トレと有酸素運動のいいとこ取りができるのです。よって、有酸素運動による脂肪燃焼効果が期待できます。 有酸素運動として行うスクワットの方法が分かったところで、スクワットを取り入れながらより有酸素効果が高まる運動をご紹介します。 自宅でできる!スクワットと組み合わせたい有酸素運動5つ ここでは初心者の方でも簡単にできるスクワットの応用やスクワットと組み合わせた有酸素運動をご紹介します。 スクワット+腕のスイング まずは単純にスクワットを連続して行う動きです。 スクワットに手の動きをつけることでリズムを取りやすくなりますし、上半身の運動にもなり全身の有酸素運動ができます。初心者の方でも省スペースで行えるので、おすすめです。 スクワット+パンチ動作 こちらは足を大きめに広げて、左右に重心移動をしながら行うサイドスクワットがベースになっています。そこから、格闘技系の要素が入ったパンチ動作を行うことで楽しく有酸素運動が行えるでしょう。パンチをする際に身体を捻ることでお腹周りのシェイプアップにもつながります。 スクワット+下半身・体幹強化 こちらはベーシックなスクワットから始まり、左右につま先をタッチしたり、脚を持ち上げたりと全体的に下半身中心のトレーニングです。片足でバランスを取りながらの動きも多くあるため、体幹トレーニングとしても効果的です。スロースクワットのように、有酸素運動と無酸素運動の両方を兼ね備えた運動と言えるでしょう。 スクワット+ランジ こちらもベーシックなスクワットから応用し、先ほどと同じように下半身のトレーニングに効果的なメニューが多く入っています。途中、肘と膝を近づけて身体を捻るような動きがあり、全身の有酸素運動としても効果的です。最後に脚を前後に開いて膝を曲げ伸ばしするランジという動きがあります。こちらもやや負荷が高い動きですので、慣れてきたらぜひ挑戦してみてください。 スクワット+ダンス こちらはスクワットの動きにダンスの要素が入っており、楽しく有酸素運動が行えます。初心者の方でも簡単な動きなので、スクワットのフォームさえ気をつければ音楽に合わせて踊っているうちに脂肪が燃焼されていきます。 まとめ 今回は筋トレのイメージが強いスクワットを有酸素運動として取り入れる方法をご紹介しました。 スクワットはやり方次第ではパワーと持久力を兼ね備えたピンク筋を鍛えるのに効果的です。そして、有酸素効果として脂肪を燃焼するためには酸素が必要です。よって、低負荷でしっかりと呼吸をしながら行う事がスクワットを有酸素運動として取り入れる際のポイントになります。女性の方の中にはスクワットが苦手な方もいるかもしれません。スクワットと組み合わせた有酸素運動もたくさんありますので、ぜひ楽しく取り入れてみてくださいね。 Let’s SHARE!