産後のパーソナルトレーニングはいつからOK?現役女性トレーナーが解説 2022.06.10 産後ダイエット 理学療法士・パーソナルトレーナー 鈴木裕子 妊娠・出産は身体にとって想像以上に大きなダメージを受けます。大変な時期を乗り越えた身体は、早い段階で整えることがとても大切。 とはいえ、産後は育児に追われ、なかなか自分の身体を気にしていられないものです。 そこで今回は「妊娠中に増えた体重を戻したい」「骨盤の歪みが気になる」という方に向けて、産後のパーソナルトレーニングを始める時期について解説します。 なお、産後のパーソナルジム選びについて悩んでいる方は、以下の記事もあわせてご覧くださいね。 子連れOK!産後ダイエットにおすすめのパーソナルジム10選 目次 産後のパーソナルトレーニングはいつからOK?産後のパーソナルトレーニングを受ける時の注意点産後の時期別おすすめエクササイズ規則正しい生活と食事が大切まとめ 産後のパーソナルトレーニングはいつからOK? 産後のパーソナルトレーニングは、身体の回復具合を考慮しながら開始することが重要です。よって、自然分娩・帝王切開によって時期が異なるので注意しましょう。 一般的には2~3ヶ月後 産後の運動は基本的に産後6週頃からと言われています。これは、出産時の産道のダメージや内臓の回復にそれくらいの時間がかかるとされているからです。実際、大きくなった子宮が元に戻るのに6週間程かかると言われています。 その他にも、腎機能の回復に6週間、会陰部の回復に3週間かかると言われています。回復には個人差もありますので、本格的なトレーニングを始めるのは2〜3ヶ月後が良いでしょう。 産後の体型改善は産後半年間が勝負 産後は骨盤が広がるという話を聞いたことがある方も多いと思います。これは妊娠中から分泌される「リラキシン」と呼ばれるホルモンによるもので、このホルモンにより骨盤が徐々に緩み、お腹の中の赤ちゃんの成長や分娩の助けとなるのです。 産後は骨盤が緩んでいる状態であり、逆にいうと今まで歪んでいた骨盤を正しい位置に調整しやすい時期でもあります。リラキシンは産後数日〜長くて半年程かけて分泌がおさまると言われています。 よってパーソナルトレーニングで産後の体型を改善するには、産後半年間がベストタイミングと言えるでしょう。 帝王切開した場合は慎重な判断が必要 帝王切開後にパーソナルトレーニングを受ける場合は、傷口の状態を考慮する必要があります。 基本的には自然分娩と同様に産後2〜3ヶ月から可能ですが、帝王切開の場合は子宮にメスを入れているため、自然分娩よりも子宮の回復に時間がかかると言われています。 傷口に不安があったり、痛みがある場合は無理をせずに医師によく相談してから始めましょう。 ストレッチ程度ならいつからでもOK 筋肉を収縮させたり、疲労感が強く出るようなトレーニングは産後2〜3ヶ月経ってからが安心ですが、ストレッチ程度であれば産後すぐでも問題ないでしょう。 なぜなら、ストレッチは凝り固まった筋肉を伸ばすことで身体の循環を改善させ、疲労改善にも効果があるとされているからです。 特に、産まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしたり授乳したりするのは身体がとても緊張します。大きい子供を抱っこするよりも、背中が丸まったり手首に力が入ったりして身体の不調が起きやすいのです。 そうなると、産後2〜3ヶ月経ってから筋トレをしようにも体がうまく動かず、筋肉を効果的に鍛えられません。したがって、まずは筋トレの準備段階としてストレッチを取り入れることも選択肢の一つです。 ストレッチを受けられるパーソナルジムある? パーソナルトレーニングといっても、筋トレばかりをするわけではありません。 状態に合わせて、ストレッチや軽いエクササイズによって身体の状態を整える”コンディショニング”をしてくれるジムもあります。 例えば、DBHS(ドビヘス)というパーソナルジムでは、産後の女性向けにストレッチやマッサージなどのサービスを提供。 先述のとおり、産後は身体が硬くなっている人がとても多いので、上記のようなジムでパーソナルストレッチを受けのがおすすめですよ。 自分では伸ばしにくいところも筋肉をほぐしながら伸ばしてくれるので、産後1〜2ヶ月間はストレッチで身体を整えるのが良いでしょう。 産後のパーソナルトレーニングを受ける時の注意点 産後にパーソナルトレーニングを受けるのはとてもおすすめです。ですが、産後特有の注意点がありますので確認しておきましょう。 お医者さんに運動の可否の相談を まずは一番大切なのが、産科のお医者さんの許可です。1ヶ月検診の時に運動しても良いかを聞くのがおすすめ。 そこでもし、お医者さんから「もう少し安静にするべき」と言われたら、どのタイミングで運動をして良いのかを確認しておきましょう。 お産によって受ける身体へのダメージは、交通事故によるダメージと「同等程度」と言われています。 見た目には分かりにくいので無理しがちですが、このまま痩せなかったらどうしようなどと焦らずにお医者さんと自分の身体と相談しながら進めていくことが大切です。 産後についての理解があるか確認 パーソナルトレーナーとはいえ、全員が産後の知識を持っているかというとそうではありません。 日常生活も問題なく、産後も半年以上経過していてガッツリトレーニングしても大丈夫な体力があれば良いですが、産後間もない場合は慎重にジム選びをしましょう。 確認方法としては、無料カウンセリングの際に今の身体の状態を伝えて、どんなプログラムを組んでくれるか一度聞いてみてください。 その時に安心して自分にもできそうな内容を提案してもらえるかを確認してみるのがおすすめです。 当日キャンセルについて ほとんどのパーソナルジムでは、当日にパーソナルトレーニングをキャンセルすると、一回分のトレーニングが消化されてしまいます。つまり、一回分のトレーニングが無駄になってしまう。 ジムに行こうと思ったのに行けなかった、無駄な出費になってしまった、そんなストレスがあるとジム通いが億劫になりますよね。 とくに産後の場合、子どもの体調などによって当日の予定が左右されることが少なからずあります。したがって、当日キャンセルが「どのような対応になるのか」を確認しておきましょう。 ここまで産後のパーソナルトレーニングの全体像についてお伝えしてきました。 パーソナルジムに通うと、基本は週2回〜トレーニングをおこないます。そのため、ジムでトレーニングする時間よりも自宅にいる時間の方が長くなる。 そこで続いては、自宅でもおこなえる産後の時期別エクササイズを紹介しますね! 産後の時期別おすすめエクササイズ 産後にエクササイズをする際は、産後からの経過日数に応じて種目を取り入れましょう。 先にも述べたように産後の身体はダメージを受けている状態。つまり、身体の状態に応じてエクササイズの負荷を調整する必要があるのです。 それでは、時期別のエクササイズを順番に解説しますね。 骨盤周りの筋肉のストレッチ(産後すぐ〜OK) 骨盤は筋肉のバランスが悪いと前後左右に偏ってしまいます。 妊娠中に大きくなるお腹に合わせて骨盤の形も変化しています。またお産によっても大きなストレスがかかっています。 さらに、育児中の姿勢は授乳や抱っこで偏った筋肉を使いやすく、それにより骨盤周囲の筋肉を中心にバランスが崩れやすいのです。よって、骨盤周囲のストレッチで筋肉のバランスを整えましょう。 ダイエットをしたい方も骨盤の歪みがあると痩せにくいので、ぜひここから始めてみてください。 骨盤周囲のストレッチはこちらの動画がおすすめです。 骨盤位置をキープするための体幹トレーニング(産後1ヶ月〜) 骨盤周囲のストレッチができたら、正しい位置をキープするために体幹トレーニングを行いましょう。 基本的に床上げは産後21日と言われており、その期間は出来るだけ寝ていることが推奨されています。それだけお産による身体のダメージは大きいのです。 よって、起き上がって運動をする場合は1ヶ月検診が終わり、お医者さんから運動の許可を得てからにしましょう。 運動の許可がおりたら、まず体幹トレーニングからスタートするのがおすすめ。なぜなら体幹が身体の土台となるからです。そのため、体幹トレーニングのポイントは骨盤をグラグラ動かさないようにすること。そうすることで、骨盤が正しい位置で安定して崩れにくくなるのです。 体幹トレーニングは身体を整えたい方も、ダイエットをしたい方も必ず取り入れて欲しい運動の一つです。 ちなみに、骨盤の正しい位置とは次のような状態のことを言います。 参照:ぷらす鍼灸整骨院 前から見た場合、左右の高さが揃っている右の図が正しい位置になります。 参照:ぷらす鍼灸整骨院 また、横から見た場合は上前腸骨棘(一般に腰骨という方が多いところ)と恥骨が床に対して垂直になっている左の図が正しい骨盤の位置になります。 この正しい骨盤の位置をキープするために体幹トレーニングは重要。 体幹トレーニングにおすすめの動画はこちらです。 妊娠中から腹筋に力を入れないようにしていた期間が長いため、最初は体幹に力が入りにくいかもしれません。 そのため、負荷の低い四つ這いから徐々にプランクへと強度を上げていくのがおすすめです。プランクもさまざまな種類がありますので、慣れてきたら負荷を上げていきましょう。 産後太り解消エクササイズ (産後2ヶ月〜) ここまで身体を整えるための運動でしたが、産後2ヶ月を過ぎれば体調を見ながら少しずつ負荷を上げたトレーニングを入れても問題ないでしょう。妊娠中に増えた体重を戻したい方もここからが勝負。筋肉を増やして脂肪を燃焼すべく、筋トレと有酸素を組み合わせていきましょう。 自宅でできる負荷高めのエクササイズはこちらです。 赤ちゃんが泣かないように足音を鳴らさずにやると体幹により効果的。 トレーニングで意識するのは体幹はもちろん、背中・二の腕・お尻。 なぜなら、これらの筋肉は育児や日常生活の動作において使われる機会が非常に少ないからです。ここを鍛えることで、バランスの良い身体(=痩せやすい身体)が手に入るでしょう。 身体を整えるにしても、ダイエットで痩せるにしても運動だけでは難しいです。 次に睡眠と食事について解説していきます。 規則正しい生活と食事が大切 やはり身体を変えていくには生活習慣や食事は切っても切り離せないもの。ここでは睡眠と食事のポイントをお伝えします。 睡眠 睡眠は理想の身体を作るのにとても重要です。なぜなら、睡眠不足はレプチンと呼ばれる食欲を抑えるホルモンの分泌が減少してしまうから。それにより、食欲が抑えられずにどんどん食べてしまうのです。 また、睡眠不足は筋肉を作る成長ホルモンの分泌も抑えられてしまいます。せっかくトレーニングをしても筋肉が作られなくては勿体ないですよね。よって、できる限り睡眠時間を確保するようにしましょう。 とはいえ、産後は夜泣きなどで思うように睡眠が取れない方もいると思います。そんな時は、昼間の時間でも眠れる時は睡眠を優先しましょう。寝れない時は運動はほどほどに。焦らずに夜泣きが落ち着いた頃に運動をスタートしましょう。 食事 次は食事です。ダイエットに食事が欠かせません。なぜならダイエットには消費カロリー>摂取カロリーという大原則があります。よって、食事管理で摂取カロリーを抑えることがポイントです。 授乳をしていると食欲が止まらないとか、子供のご飯の残りがもったいないからと食べ過ぎてしまってはなかなか痩せられません。 栄養バランスの取れた食事が母乳の質を上げ、健康的なダイエットにつながります。なお産後ダイエットの食事については以下の記事を参考してください。 産後ダイエットにおすすめの食事とは【食事制限・サプリも解説】 まとめ 産後のパーソナルトレーニングは身体の回復を考慮して、段階的に進めていくのがポイント。 ストレッチは血液の循環を改善し、疲労回復にも効果があるため産後すぐからでも始められます。特にダメージの少ない上半身のストレッチから始めるのが良いでしょう。 お医者さんの許可が出たら、体幹トレーニングからスタートし、本格的なダイエットは産後2ヶ月〜6ヶ月の間が勝負。 ですが、産後半年を過ぎてしまった方も大丈夫。お医者さんからの運動制限がなければ、出来ることからどんどん始めていきましょう。 Let’s SHARE!