【EMSは効果なし?】EMSを使った人にアンケートをとってみた 2021.09.21 EMS トレーニング器具 元日本体育協会公認アスレティックトレーナー&NSCA-CSCS 林本直 ダイエットやボディメイクに使われるEMS。「辛い運動をしなくてもつけているだけで痩せられる」のような広告を見たことがあるかと思います。 しかし、「つけているだけで痩せる」など、本当にあるのでしょうか。「EMSの効果はない」といった内容の記事を目にすることもありますよね。 この記事では、元トレーナーの私がEMSの仕組みから効果のあり・なしを解説します。そして独自に、EMSを使った人は効果があったのかアンケートをとりました。 本当にEMSの効果はあるのでしょうか。 EMSってなに? EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略。日本語に訳すと「電気的筋肉刺激」といい、一般的には電気の力で筋肉を収縮させる機器のことを指します。 EMSは元々、関節を動かせない患者の筋肉を収縮させて筋萎縮を防ぐなど、医療やスポーツ現場でのリハビリテーションを中心に使われていました。 しかし、技術の進化によって小型化・軽量化。金額も下がり、一般の人が自宅で使えるようになったのです。 この章ではまず、EMSの仕組みやメリット・デメリットをご紹介します。 ・EMSの仕組み ・EMSのメリット ・EMSのデメリット EMSの仕組み 脳からの命令が活動電位として届くことで筋肉は収縮します。EMSでは、この活動電位を模倣した電気を、皮膚を介して筋肉に伝えて収縮させるのです。 では、なぜEMSは医療やスポーツの現場で使われていたのでしょうか。 筋肉は使われなければ萎縮していく性質があります。例えば骨折した場合、折れた骨をつなげるために、一定期間は固定しなければなりません。 固定すると折れた骨付近の筋肉が使われなくなり、固定している間に萎縮してしまいます。 この萎縮した筋肉を戻すには、運動をして筋肉を収縮させなければなりません。ですが、骨折が治るまで、動かすことはできません。 EMSなら、まだ運動できない段階でも、外からの電気振動によって筋肉を収縮させられます。運動によるリハビリよりも早期に筋肉を収縮させられるため、筋肉の萎縮を最小限に食い止められるのです。 EMSのメリット 技術進歩によって安価かつ小型で軽量のものが流通するようになり、現在ではダイエットやボディメイクのために用いられるようになりました。続いて、EMSをダイエットやボディメイクに用いるメリットについて解説します。 ・脂肪燃焼効果 ・筋トレ効果 ・楽に簡単に使えて続けやすい 脂肪燃焼効果 筋肉が収縮するには、ATPというエネルギーが必要です。このATPは主に糖質や脂質から合成されます。なので筋肉を収縮させればさせるほど、ATPを合成するために体内の糖質や脂質が消費されるのです。 これまで筋肉を収縮させるには、運動が必要でした。ですがEMSなら、つけるだけで筋肉を収縮させてATPを消費させられます。それに伴って糖質や脂質が消費されるため、理論上はつけるだけでダイエットが可能です。 運動や筋トレが苦手な人や忙しい人にとって、つけるだけで痩せられるのは、とても魅力的でしょう。なので「運動不要」「つけるだけで痩せられる」といった広告が出回るようになりました。 ですが、それらの広告で言われているほどの効果はありません。詳しくは後述します。 また、EMSには「直接脂肪を減らす」効果はありません。あくまで「筋肉を収縮させるためにATPが消費されて、ATPを合成するために脂肪が分解される」という形です。 筋トレ効果 日々、何もしなくても消費されるカロリーを「基礎代謝」と言います。基礎代謝が高ければ「太りにくく痩せやすい」ため、ダイエットやボディメイクをする人にとって基礎代謝の向上はとても重要です。 そして基礎代謝を向上させるためには、筋肥大が重要。筋肉はあるだけで日々のカロリーを消費するため、 筋肉量を増やすほど基礎代謝が高まります。 筋肉は使わなければ痩せていく性質があるため、EMSによって収縮させれば、 筋肉量を維持しやすいでしょう。また、まったく運動しない人であれば、EMSによって多少の筋肥大も起こるかもしれません。 EMSによって基礎代謝の維持や、増やす効果を期待できます。 楽に簡単に使えて続けやすい EMSは鍛えたい筋肉の上につけて、スイッチを入れるだけで使えます。なので自分が鍛えたい筋肉をピンポイントで収縮させられるのです。 しかも洗い物をしながらなど、日常生活の中に組み込めるため、EMSのための時間を作る必要もありません。 楽に使えて時間もとらないため、EMSは続けやすいのです。 EMSのデメリット EMSのデメリットはあまりありません。ですが運動する場合と比較すると、消費カロリーや筋肥大等の効果は劣ります。 カロリーを消費するためにも筋肉を肥大させるためにも、負荷が重要です。基本的に、負荷の高い運動ほど効果が高く、負荷の低い運動ほど効果が低い傾向があります。 EMSは楽に筋肉を収縮させられるものの負荷は低いため、運動する場合と比べると消費カロリーや筋肥大等の効果が劣るのです。 続いてEMSの効果がないと言われる理由について解説します。 EMSが効果なしと言われる3つの理由 ネットの記事や体験談で「EMSは効果がない」といった記事を見ることがあるかと思います。ですがEMSの効果を「あるかないか」の極論で言えば、効果はあります。なぜなら筋肉が収縮するには必ずエネルギーが使われるからです。 では、なぜ効果がないと言われるのでしょうか。 ・消費者庁の発表 ・広告ほどの効果はない ・表面にしか効かない 消費者庁の発表 消費者庁は2020年の3月31日、EMSを販売する4社が「景品表示法」に違反するとして、措置命令(*1)を出しました。 これら4社は共通して「つけるだけで痩せられるかのような表示」が「根拠なく、実際のものより著しく優良であると示す」として景品表示法に違反すると指摘されています。 4社には、景品表示法に違反していたことを周知すること、再発防止策を講じることなどが求められました。 この消費者庁の発表により、EMSのイメージは悪化したでしょう。また、ニュースへの切り取られ方によって、「EMSに効果はない」と感じた人も多いかと思います。 誇大広告ほどの効果はない EMSに効果はあります。それは医療やスポーツ現場で使われ続けていることからも明らかです。 ですが、「つけるだけで1ヶ月でウエスト−◯cm」など、誇大広告ほどの効果はありません。 EMSによって筋肉が収縮するため、エネルギーを消費したり筋肉量を維持したりする効果はあるものの、負荷が低いため誇大広告ほどの効果はないのです。 表面にしか効かない 市販されているEMSのほとんどは低周波であり、皮下数mmの筋肉しか収縮させられません。なので、より内側にあるインナーマッスルと呼ばれる筋肉を収縮させられないのです。 表層の筋肉にしか効かないからといって決して効果がないわけではないのですが、 効果がないと誤解する人もいます。 また、脂肪には電気を通さない性質があります。なので、脂肪が厚い人はEMSの電気が筋肉まで通りにくく、さらに表層にしか効かないため効果を感じにくいです。 これらの理由によって「EMSは効果がない」と言われる場合がありますが、EMSの効果は学術的にも認められています。 EMSは学術的に効果が認められている 日本理学療法士協会より発表された「EMSの効果を調べた実験」の概要をご紹介します。*1 EMSを実施しないグループと、週3回実施するグループ、週5回実施するグループに分けました。実施するグループは太ももとふくらはぎに1回20分のEMSを6週間継続。 その結果、EMSを週3回実施したグループ、週5回実施したグループともに、筋厚と筋力の増加が認められました。週3回と週5回のグループを比較しても有意な差はなかったため、週3回でも効果が得られると示唆されています。 このようにEMSは学術的に効果が認められているのです。 続いて、EMSの効果的な使い方を解説します。 EMSの効果的な使い方 EMSを効果的に使う前に、ダイエット・ボディメイクを成功させるには、低糖質・高タンパク質の食事やトレーニングが重要です。 先ほど解説したように、EMSは運動ほど負荷が高くありません。EMSだけで全身の筋肉を引き締め、脂肪を落とすのは非常に困難です。 なので普段から痩せるための食事やトレーニングを行いつつ、補助的にEMSを使いましょう。 トレーニングする時間をとれなかった場合や、さらにカロリーを消費させたい場合に家で家事をしながら使う。といった使い方が最適です。 または、デスクワーク等で肩のこりを感じたときなどに、EMSで筋肉を動かしてあげるのも有効でしょう。 最後に、EMSを使った人を対象にしたアンケート結果をご紹介します。 EMSを使った人は効果があったのか? アンケートをとってみた EMSを使った人にアンケートをとったところ、12人から回答を得ました。半数の6人が「効果があった」と回答し、半数の6人が「効果がなかった」と回答しています。 12人のうち使用期間1ヶ月未満の方が3人いましたが、3人とも「効果がなかった」と回答しています。短期間ではあまり効果はなさそうです。 1ヶ月以上使用した9人中6人が「効果があった」と回答しているものの、3ヶ月使っても効果がなかったと回答した方もいました。基本的に長く使えば効果を体感できそうですが、個人差がありそうです。 また、12名の方が様々なEMS機器を使用していましたが、「有名な商品だから効果がある」「無名だから効果がない」といった傾向はありませんでした。 効果があった人の声 ・使用期間:1ヶ月以上3ヶ月未満 1ヶ月の使用でふくらはぎ 左-1.5cm/ふくらはぎ 右 -2cm/ヒップ -2cm/ウエスト -3.5cm ・使用期間:1ヶ月以上3ヶ月未満 腹筋のシックスパックに憧れて使い始めましたが、とりあえず、ぽっこりお腹が解消してきた気がします。 ・使用期間:1ヶ月以上3ヶ月未満 私は下腹部が2段になるのが嫌だったので、そこを部分的にフォーカスして使用しました。これを使用してからは、パンツの跡がつきにくくなり、座った時の、お腹のたるみも軽減されました。服を着た時も、ジーパンがきついと感じることがなくなったので、とてもよかったです。 ・使用期間:3ヶ月以上半年未満 効果として明言できるのはウエストが引き締まったことです。元の状態から太った3cmだけでなくトータルで倍の6cmの減少に成功しました。ただ、体重については、腹筋は引き締まり筋肉量が増えたからなのか太った2kg以上に減ることはありませんでした。 ・使用期間:3ヶ月以上半年未満 週に3回、1日20分ほど使用しているのですが、明らかに腹部が筋肉痛になり筋肉に直接効いている実感はあります。EMS使用と同時に有酸素運動と軽い食事制限をしていてその効果もあるのかもしれませんがひと月で1kgずつ体重が減少しており、体脂肪率が25%から23%程度に減少しました。 ・使用期間:半年以上1年未満 体重や体脂肪が減ったのはもちろんのこと、腹筋がEMSを付けていないときよりも明らかに締まって筋肉が付いたように感じる。 効果がなかった人の声 ・使用期間:1ヶ月未満 まだ長く使っていないのでわからない ・使用期間:1ヶ月未満 体重と体脂肪率の数値に変化がなく、実際に腹囲を計測してみても使用前と少しの変化もなかった。 ・使用期間:1ヶ月未満 まだ使い始めて間がないせいもあるかもしれませんが、特に見た目も体重も変化がありません。 ・使用期間:1ヶ月以上3ヶ月未満 安い製品だったからか、ただブルブル震えるだけで効果を感じられなかった ・使用期間:3ヶ月以上半年未満 やはり貼るだけでダイエットや筋トレになるという効果はありませんでした。追加で運動や筋トレをしなかった自分も悪いと思いますが、これだけで痩せたり筋肉量が増えるというのはないと感じました。元から基本的な筋肉量が少ないのが原因かもしれませんし、結構貼った後に疲れや違和感が残ったので、習慣化しませんでした。 ・使用期間:3ヶ月以上半年未満 約3ヶ月毎日使用したのに体重への変化、お腹の脂肪や筋肉も全く変わらずだったので効果がないと感じました。その後筋トレのダイエットをした方が効果があったので、EMSの効果は感じませんでした。 まとめ EMSは電気で筋肉を収縮させる機器で、もともと医療やスポーツ現場でリハビリテーション等の目的で使われてきました。 医療やスポーツ現場で長年使われていることからも明らかなように、EMSに効果はあります。ただ「つけるだけでウエスト−◯cm」などの誇大広告で謳われるほどの効果はありません。 ダイエット・ボディメイクをするためには、普段の食事やトレーニングが重要です。EMSはあくまで補助的に使いましょう。 ダイエット・ボディメイクのやり方は、以下の記事を参考にしてください。 【体脂肪を減らす】効率的なトレーニングと食事・サプリメントのポイント 自宅でメリハリボディを作る!効率トレーニングと食事・サプリメントを解説 細マッチョになるための筋トレ・食事・サプリのポイントをすべて解説! EMSを適切に活用することは、あなたが理想の身体に近づく助けになります。 Let’s SHARE!